2016年11月09日

ギター曲集『風の間奏曲』より(その3)


拝啓
晩秋の候、日毎に冷気加わる時節となり
指先のパックリ割れに悩まされる頃となりました(笑)
(いえ冗談じゃなくホントにタイヘンなんです。
ずきずき痛むのを我慢して練習しているといつの間にか出血してたりして
そうなると練習も進みませんし治りも遅いですし(それは加齢のせい?)
ほんと厄介な季節でございます(^_^;))


……と、いうわけで
佐藤弘和氏の『風の間奏曲』より第3回目の配信、いってみたいと思います!
短くて聴きやすい、いい曲ばかりですので、よろしければどうぞぜひお気軽に
お聴きいただければと思います。


★昔の歌   (P11)
譜読みをした時まず思い浮かんだのが
例えばド・ヴィゼーのような古いルネッサンス曲のイメージでした。
和声進行や二声(時々三声)で動くところなんかもとてもルネッサンスぽくて
「なるほど。確かにOld Song!」と、何だか思わずうれしくなってしまいました。
佐藤氏のことです。きっとわざとそうした時代の音楽形式も狙って含ませているはず。
ですのでこちらも、リュートやギターラを弾いてるつもりになって演奏してみました。


★ひとりごと   (P13)
オクターブ・ハーモニクスやピチカート奏法を『楽しく』練習する…という意味において、これほど適した曲を今まで見たことがありません。
こんなにも綺麗で儚い雰囲気を持ちながら、技術の向上にも高い効果が望めるなんて
常にビギナーのことを考えてこられた佐藤氏ならではの作品だと思います。
Arm.Oct.の難しいところは
「暗譜しなければいけない」ところと
「左指を見ずに弾かなければいけない」ところが大きいと思うのですが、でもこの曲を練習すれば大丈夫。
きっとこの先続々とオクターブ・ハーモニクスの達人たちが登場してくることでしょう(笑)


★メロディア   (P41)
実はこの曲、個人的に
この曲集の中で一番好きな3曲のうちのひとつでして
(前回配信の『悲しいワルツ』に続いての、一番好きな2曲目です)
この懐かしいような切ないような、それでいて決して悲しくはない雰囲気が大好きなのです。
こういう曲はどんな楽器で弾いてもピタッと決まりそうですが、でもやはり
ナイロン弦のギターの音色こそ最もしっくり来る曲だと思います。
出来る限り心を込めて弾いてみたつもりです。


★葬送行進曲    (P43)
譜読みの段階で強く思ったのが、恐らくこの『葬送行進曲』は
誰かのお葬式のために書かれたとか、どなたかが亡くなってしまったとかではなく
いわゆる先人の書かれた秀逸な葬送行進曲(ベートーヴェンやショパンやワーグナーやマーラーなど)へのオマージュとして作曲されたものではないかということでした。
だってなぜならものすごいカッコイイんですもん(笑)
悲しみに暮れる…というよりは
「キサマの遺志はオレが継ぐ!」みたいな?(笑)
などと思い、勝手にものすごい盛り上がって演奏したあとで曲集のあとがき(作曲者氏ご本人の作品解説)を読むと、なんと同じことが書いてあって思わず赤面してしまいました。
そしてこの曲こそ、個人的に一番好きな3曲の最後の1曲なのでした。
ぜひ聴いてみていただければと思います。
そして、もしあなたがギターを弾かれる方でしたら、よければぜひ弾いてみて下さい。
間違いなくギターの楽しさ、そして音楽そのものの喜びを味わえる曲たちだと思いますので。



昔の歌(Old Song)


ひとりごと(Monologue)


メロディア(Melodia)



葬送行進曲(Marche Funebre)




posted by nao at 12:32| Comment(9) | TrackBack(0) | 演奏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます!ずいぶん寒くなりました。
空気乾燥が進み、
お肌のカサカサ↑↑=パックリわれx2=(´;ω;`)ウゥゥの方程式・・・お大事になさってください。

配信待ってました!!(^^)!
「昔の歌」を聴かせていただきました。
実は今練習中でして、しかし、YouTube動画等の参考演奏がなく自分の演奏がどうなのか不安でした。雰囲気の取り方、勉強になります。さすが!!レガートに、聴きやすいテンポで私がひそかに求めてる演奏です!ヨーロッパの昔の清貧農民が生活してる様子が目に浮かびました。

そして、私は勝手に「自分がまだ練習してない曲は聴いてはいけない!」という取り決めをしており今まで守っていましたが、掟を破ってしまいました(;'∀')
「葬送行進曲」・・・naoさんが好きな曲ベスト3のうちの一曲とか、カッコイイとかの言葉に興味津々になってしまい(;^ω^)ぽちっとしました。
聴く前に譜面を見て私なりに譜読みをして「♭が三つ」「ソが多い」「強めの足踏みが聞こえそうなリズム」・・・これを譜読みというのか?!・・・怒られそうですが(^^ゞそんな予想で聴かせていただきました。
雨の中、黒い長いコートを着た人達が棺とともに進む様子、何か胸に秘めた思いを温めるように歩む列・・・故人を包む友人の気持ちの空気を感じました。
naoさんの表現力、すごいですね。

他の曲は、自分で弾くまで我慢して、練習したご褒美としてとっておきます!・・・守れる自信は全くありません!キッパリ!   yukii
Posted by yukii at 2016年11月10日 07:39
追伸
すみません、またコメントを送らせていただいてます(;'∀')

もう一回聴いて、そして逸る気持ちを押さえてもう一回naoさんの文章を読んで、ちょっと恥ずかしい気分です(*ノωノ)
「葬送行進曲」は私の題名からの思いこみで、先入観99.9998%で聴き始めておりました。作曲者も込めてる壮大なテーマを感じる気持ちがありませんでした。
反省会を今からしますm(__)m
しかし、私のような早とちりクラシックギタービギナーにも楽しめる曲と演奏。いつもnaoさんが言ってくださってる「解釈は人それぞれ」という大きな心をこの際信じて、サッと立ち上がります。ありがとうございました。かしこ
Posted by yukii at 2016年11月10日 18:50

こんにちは!

 今回のどの曲も、佐藤さんの優しいメロディーに、情感ののったnaoさんの演奏に聴き入ってしまいます。

 また、当方の「葬送行進曲」のイメージはもう少し遅いテンポだったのですが(^^)・・・、この急かされるような惜別のテンポもいいですね。

Posted by ほら吹き at 2016年11月10日 22:56

yukiiさま

いつもいつも温かいコメントをお寄せ下さいまして、本当にありがとうございます。
とっても感謝しています。
「昔の歌」も、今まさにyukiiさまが練習されている曲ということで、何かの参考になればなんておこがましい限りですが(汗)でももし何かお役に立てたなら、これ以上うれしいことはありません。
お聴き下さって本当にありがとうございます。

でも、この『風の間奏曲』最初から1曲ずつ取り組んでおられるのですね。
ものすごい努力だと思います。心からご尊敬申し上げます。
この曲集を最後まで弾かれたなら、間違いなく相当なお力を身に付けておられるはず。
是非ぜひがんばって、楽しく取り組んでみて下さいね。私も心から応援しています。
といいますか、私に出来ることがありましたらどうぞ何でもお気軽にお申し付け下さいませ。
「この曲を弾け!」と言って下されば「へへー」と喜んで弾かせていただきますので(笑)

今回もこの上なく感性豊かに聴き取って下さいまして本当にありがとうございました。


追:
次の反省会はぜひ私も混ぜて下さいね(笑)
Posted by nao at 2016年11月11日 18:00

ほら吹きさま

今回もお聴き下さり、コメントまでお寄せ下さいまして本当にありがとうございます。
偶然にもこの『風の間奏曲』、お互いに配信が重なってしまっていますが、言ってみれば小細工だらけでこねくり回しすぎ(!)の私の演奏より、曲をまっすぐ受け止めて弾かれているほら吹きさまのギターの方がストレートに心に響いてくる気がします。
とてもよい刺激をいただいて、ますます研究意欲が沸いてきています。本当にありがとうございます。
ぜひこれからもどんどん素晴らしい演奏をお聴かせ下さいね。とても楽しみにしています。
(って、自分のブログコメントに書く内容ではありませんよね。ごめんなさい失礼しました)

お聴き下さいまして心からありがとうございました。

Posted by nao at 2016年11月11日 18:09
ひとりごと  確かに 各テクニックしっかり つきそうですが それ以上に きれいに きっちり 聞かせてくださってる やはり いいですねぇ

メロディア 微妙に 一音の置き方が すてきな佐藤さんの音の並びを naoさんの呼吸と合わせて 体の軸で動かしてるのでしょうねぇ なんだか 心地よい調べでした。一音の繊細さはやっぱり naoさんですわ
Posted by kao at 2016年11月13日 20:49

kaoさま

なんだか恐れ入ります。
実際以上によく評価して下さったようで、赤面しつつでもとてもうれしく思います。
「呼吸」という捉え方、なんとなく分かるような気がするのですが(その程度の理解でごめんなさい(汗))
恐らく私の思う「フレージング」に近い概念だという気がしています。
理論的に「ここはこうだからこう弾くべき」というより、もっと感覚的感情的に
「このフレーズはきっとこういう気持ちだろうからこう弾く」という姿勢を重視しています。
(で、独りよがりにならないように後から理論で補正を掛ける...という感じですね)
いいんですkaoさま(笑)
好きなように聴いて、好きなように弾いてしまおうではありませんか!
「楽しさ」を伝えるのが一番。
私達は『義務』のない、ただの愛好家なのですから。
b( ゜ー^)♪

Posted by nao at 2016年11月14日 08:08
naoさん ごめんなさい kaoワールドで話しました(笑)

ただ、naoさんが おっしゃってる 呼吸≒フレージング

最近しっかり習って 私がいう呼吸って 音価だではないかなと。
一つ一つの もつ音の長さみたいな それが 呼吸と合わないと 十分音をたもてず、ちぐはぐに聞こえるのです

つまり ひとつ一つの音が本来もっている音の長さを保てば、
全部合わせたら きちんと 成立するフレージングなんだと思います 最近 新しい先生と会話する中で それに気が付きました。
Posted by kao at 2016年11月14日 21:29
きゃ !! なまってる ごめんなさい
 音価だではないか ⇔ 音かではないか?
Posted by kao at 2016年11月14日 21:30
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック