2016年09月19日

ギター曲集『風の間奏曲』より(その2)


ミナサマ
大変長らくお待たせいたしました(笑)
では、予告通り前回に引き続きまして
佐藤弘和氏の曲集『風の間奏曲』より何曲かお届けしたいと思います。


★スケルツォ  (P.8)
速度表記が「Presto」ということですので、とにかくできるだけ速く
飛ばせるだけ飛ばして弾いてみました。
でもそこは「スケルツォ」でもありますので、なるべく軽快さも感じさせるよう心がけてみたつもりです。
とはいえ元々短い曲ですので、あっという間に終わってしまいますのでどうかズッコケないで下さいね(笑)
そうですねえ...例えるなら
町内に軽トラでとうふを売りに来てくれるとうふ屋のお兄さんがいたとします。でもそのお兄さん実は元F1レーサーだったので、いつもものすごいスピードで通り過ぎていってしまい、とうふを買うどころかその姿すら誰も見たことがないという幻の軽トラとうふ屋さんなのでした……といった感じでしょうか。
(何のコッチャ。 f(-_-;))


★メヌエット・イ短調    (P.12)
出だしの16分音符と4分音符の対比が古風で優雅な雰囲気を醸し出しています。
メヌエットというのはもともと舞曲のいち形式ですので、恐らくその辺を狙って書かれたものだと思われます。
そう考えるとこの演奏、もう少しテンポを落として弾いた方がより優雅な雰囲気が出せたかもしれません。
16分音符の部分も所々指が転がってしまってるし、あちこちテンポの乱れがあるしで、録ったあとから反省点がぞろぞろ出てきて実はかなりヘコんでいます。
やっぱりどんな曲でもきちんと真剣に向き合わなければいけませんね。反省。
(/_;)


★雨だれ      (P.23)
こういう曲を弾くと、この作曲家氏はどれだけすごい方なのだろうと思います。
ギターの機能、効果を知り尽くしていないと決してこういう曲は書けません。
おまけに個人的にもこういった幻想的な雰囲気の曲は大好きなので、正直ちょいと肩にチカラが入りすぎてしまったケもございます。
幻想的な感じを出そうとしすぎてリバーブも明らかに掛けすぎですし、「雨だれ」というよりはただプールの底でぶくぶく言ってるだけみたいな?
(;´∀`)
もし、も一度弾くならやっぱりもう少し全体にゆっくり目に、音量も小さめにして
しめやかにそぼ降る春の朝の雨、みたいなイメージで弾いてみようと思いました。まる。


★悲しいワルツ     (P.32)
この「悲しいワルツ」、個人的にこの曲集の中で一番好きな曲かもしれません。
(まあその、「一番好きな曲」が三曲くらいあるのですが。なのに「一番」とは一体??)
この曲の持つ世界に心底どっぷり浸り切って弾いてしまいました。もう気持ちいいったら(笑)
あんまり好き過ぎて、楽譜にないリピートを勝手に付け加えたりしてしまいましたので、どうかその、寛大なお気持ちで見逃してやって下さいね。
(^人^ ;;)



そうそう、気付かれた方がいらっしゃるかもしれませんが
今回の録音からちょっと音色が変わっています。
「デジタルリバーブ」というエフェクターを手に入れたので(いわゆるエコーですね)マイクと録音機の間に接続して響きを増やしてみました。
でもまだ全然セッティングが出ていなくて、今回の録音は明らかにリバーブ掛けすぎ、まるで大浴場で弾いてるみたいになってしまいました。
(特に「雨だれ」と「悲しいワルツ」はひどいです。お聴きづらいですよね。ごめんなさい(泣))
まだまだ試行錯誤の段階ですが、いずれベストなセットアップが見つかると思いますので、どうかそれまで温かい目で見守ってやって下さいね。
どうぞよろしくお願いいたします。
(ちなみに楽器も弦も今まで通り変わっていません)


というわけで、今回は4曲ほどお届けしました。
しかぁし、このシリーズはもうちょっと続きます。
(どんだけこの曲集にハマってるんだ?という話ですが(笑))
もしよろしければ、次回もまた聴いてやっていただければと思います。うしししし。

お聴き下さいまして心からありがとうございました。




スケルツォ(Scherzo)



メヌエット・イ短調(Menuet in A minor)



雨だれ(Raindrops)



悲しいワルツ(Sad Waltz)






posted by nao at 19:40| Comment(11) | TrackBack(0) | 演奏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは
その佐藤氏が おっしゃっていました

曲には 限界があって
すべてを 記号や♪で 表現しつくせないのだと
だから 最終的には 弾き手にゆだねるしかないと

悲しい歌 リピートいいのではと思いますし
ご自分が 感じたままを表現できる
だから ギターを弾きたいわけだし この曲を選んで弾きたいと思うわけですから

佐藤さん先生も きっと ご満足でしょう。

悲しい歌 好きですわ 私も。
Posted by kao at 2016年09月19日 22:06

kaoさま

心優しいフォローを下さいましてほんとにどうもありがとうございます。
アーティキュレーションやデュナーミクを変更・追加するならともかく、リピートまで付加してしまうとそれは音符の改ざんと同じだ!と強く批判してくる方が多いものですから、そんな風に温かいことばを掛けていただけると本当に救われます。
心から感謝しています。

そうですね。
表現の自由、やっぱりそこをこれからも大切にしてゆきたいと改めて思います。
お聴き下さいましてどうもありがとうございました。
m(_ _)m


Posted by nao at 2016年09月20日 06:57
31秒のスケルツォ・・・!!

幻のとうふやさん・・・!!

誰も見たことのないとうふやさんなのに、確実に存在してるなんて、どうやって証明できるのでしょうか・・・(;'∀')

でも、通過する時に少し風を感じた人にははっきりと明らかにわかっています。そこにF1のとうふやさんがいたことを。。。私も感じました。

スケルツォを練習した時、言葉の解釈を自己流にして(^^ゞ高橋大輔くん💖のスケートを思い描いてました。今日からF1のとうふやさんにしてみます。yukii

Posted by yukii at 2016年09月20日 19:19

yukiiさま

しょーもない記事にノッて下さってほんとにありがとうございます。感謝感謝です。
(^人^)
でも正味31秒だったというのは弾いている本人も知りませんでした。
うーむどうせなら30秒切りたかったですね。
(気分だけはすっかりレーサー)

まあ冗談はともかく、この曲集はホントに秀逸で
練習曲としても非常に考えられていますが、どんなレベルの人にも楽しく学べる要素を持つ、つまりいつまでも飽きずに弾き続けることのできる稀有な曲集だと思います。
yukiiさまもぜひ、今のまま楽しく取り組んでみて下さいね。

今回もお聴き下さり本当にありがとうございました!

Posted by nao at 2016年09月21日 16:56
naoさん、今晩は。

期待に違わず、素晴らしい演奏いつもながら感服いたします。
今回もまたnaoさんの演奏を参考とさせていただき練習に励んでおります。
”悲しいワルツ”良いですね!

それで最近、思うのですが、指が動いて曲を弾く事ができるのですが、何か物足りないと思うことが多々あります。その原因は譜面の読み込みが足らなく上滑りしているだけかもしれないと気が付きました。その点、naoさんの演奏には、音符が生き生きと踊っているし、互いに協力しあいながら進行する、素晴らしい演奏。参考とさせていただきます。

それと、セゴビアの演奏を久しぶりに聞いたのですが、naoさんの演奏に共通するものがありますね。

”その3”待ち遠しい。
Posted by 瑞穂の森のふくろう at 2016年09月25日 22:17
こんばんは(^O^)/

今日は『メヌエット・イ短調』を聴かせてもらいました。ありがとうございますm(__)m

佐藤弘和さんの体調があまりよくないようですが、今度の日曜日、他のギタリストの方とライブがありご出演できるようです。
8月のあるコンサートで作曲した曲の演奏があり、客席にいらっしゃいました。

そんなことを思いながら、聴きました。

曲の中にいろいろな感情や情景を盛りだくさんで詰め込んで、私のようなギター愛好家でも楽しく取り組める作品の数々。弾けば弾くほど面白くて深いです。
そのすごくいいところをnaoさんが、全部受け止めて弾いてくれてる・・・(´;ω;`)ウッ…

naoさま、ありがとうございます!
私もメヌエットの練習始めました。naoさんのように深くつかんで表現できないけど、とつとつと弾いて佐藤弘和さんの世界を漂います。  yukii
Posted by yukii at 2016年09月27日 21:54

瑞穂の森のふくろうさま

拙い演奏をお聴き下さいまして本当にありがとうございます。
過分なお言葉を頂いてしまって大変恐縮しています。
でも、そんな風に評して下さってとても感謝しています。どうもありがとうございます。

はい。
おっしゃる通り、私もセゴビアは若い頃LP、CDと相当聴きましたので、知らない内にかなり影響を受けてしまってると思います。
もちろん遠く及びませんが(及ぶわけもありませんが(笑))尊敬するギタリストの一人ですので
「共通するものがある」などと言っていただけるとうれしくて舞い上がってしまいます。


あと、もし不遜な発言をお許しいただけるなら、私の心掛けていることを少し書いてみたいと思います。
新しく曲に取り組む時、私は特に和声進行に注意するように心掛けています。
楽譜から和音を読み出して、メロディーを抜いて和音だけで弾いてみたりしています。
そうすると、その曲の全体的な構造や曲の持つ感情の動きなどが分かってきますので、あとはそこにメロディーを乗っけて抑揚を作ってゆくというやり方ですね。そうして自分なりの表現を作るよう心掛けています。

あとは曲全体を見渡してクライマックスの部分を設定して、そこへ向かって全体を構築してゆく、というところでしょうか。
クライマックスといっても、それは必ずしも『盛り上がる場所』というだけではなくて、曲の中でいちばん大事だと思われる部分、作曲家が最も伝えたかったのではないかと感じられる部分をも含みます。
ですのでもしかしたら、最も音量が小さな部分がクライマックスだという曲もあるかもしれませんし、でもそこをはっきり明確にすることで弾く方も非常に表現しやすくなりますし、何より伝わりやすさがより増すと思うのです。

ごめんなさい。何だか偉そうに書いてしまいましたが、もしも何か少しでもふくろうさまのお役に立てたならそれに優る喜びはありません。
差し出がましい発言をお許し下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

今回もお聴き下さいまして本当にありがとうございました。

Posted by nao at 2016年09月28日 08:53

yukiiさま

いつもお聴き下さりほんとに心からありがとうございます。
しかも一曲ずつ丁寧なコメントをお寄せ下さいまして、もうほんとに感謝しています。
(/_;)

おっしゃる通りこの佐藤弘和氏の曲集は弾けば弾くほど面白くて深くて、改めて感服するばかりです。
例えば今回載せた曲たちも、もう一度楽譜を見ながら自分の録音を聴き直してみると
「うーん...なんか雰囲気違うんじゃない?」と疑問に感じることが多々あったりして(汗)
とりあえず「『雨だれ』くらいは再録しなければ」と反省したりしています。

例え指がそれほど難しくなくとも、そうした表現の部分でとても深いものを要求してくる、なんとも手強い曲たちかもしれませんね。
さすが佐藤さん...と嘆息するばかりでございます。

ですのでどうぞyukiiさまも、これら私の録音など
「手本」などと思わずせいぜい「見本のひとつ」くらいに受け取っていただければと思います。
例えばレストランでも、メニューの写真と運ばれてきた実際の料理が結構違っててちょっとがっかりしたり不満を覚えたり殺意を抱いたり(笑)とか、まあそんな感じでしょうか?
( ̄ー ̄)ニヤリ

とまれ「メヌエットイ短調」
ぜひぜひ楽しくがんばってみて下さい!
心から応援しています。

今回もお聴き下さいまして本当にありがとうございました。


Posted by nao at 2016年09月28日 09:37
naoさん、今晩は。

大変有難うございました。
非常に参考になります。
出来ることなら、実地にレクチャーを受けたいくらいです。

次回をまだかな、まだかなと楽しみに。
ちなみに、家路(P25)なんかも私は好きです。
Posted by 瑞穂の森のふくろう at 2016年09月28日 21:28
こんにちは

「風の間奏曲」は、色々な曲想の小品があって楽しいですね。
 また、この夏に作曲された佐藤さんの、小品の連作曲集の出版が計画されているようですね。これも待ち遠しいです。
Posted by ほら吹き at 2016年10月02日 21:57

ほら吹き さま

コメントどうもありがとうございます。
ほら吹きさまもご自身のブログで佐藤さんの作品をたくさん弾いておられますね。
どれも素晴らしい演奏で惚れ惚れしてしまいます。

佐藤弘和氏の新作の曲集も発売間近なのですね。
いいことを教えていただきました。とても楽しみです。
でもその佐藤氏、この所かなりお加減がよろしくないようですのでとても心配です。
日本のギター界にとって非常に大切な存在の方だと思いますので、少しでもお元気でいてほしいと心からそう願っています。
お大事になさってほしいです。

Posted by nao at 2016年10月05日 21:24
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